「あとで返信」は悪魔のささやき。私とLINEの奇妙な関係

ADHD

目次

  1. 返信したくないわけじゃない。むしろ「ちゃんと返したい」
  2. これってADHDと関係あるの?
  3. 「あとで返そう→忘れる」は、私にはかなり心当たりがある
  4. どんなLINEも返信が遅いのか?
  5. 「了解!」と「来月いつ空いてる?」は、本当に同じ作業なのか?
  6. 「返せるLINE」と「返せないLINE」を比べてみることにした

ピコン♪

「あ、LINE来た」

スマホを見る。友達からだ。

これは……ちゃんと考えて返したいやつだな。今ちょっと別のことしてるし、

「あとで返そ~」

スマホを閉じる。そして翌日。

「あ。」

返してない。まずい。

でも、今から普通に返すのもな。「返信遅くなってごめん!」とか入れた方がいいかな。というか、内容についてもちゃんと答えたいし……。まあ、あとでちゃんと返そう。

そして気づけば、7日経過。返信しなきゃ、でもめっっちゃ気まずい。なんですぐ返さなかったのか、いつもこれの繰り返しである。

返信したくないわけじゃない。むしろ「ちゃんと返したい」

先に言っておきたいのが、別に

「この人どうでもいいから返さなくていっか~」

と思っているわけではないということ。

むしろ逆で、

ちゃんと返したい。ちゃんと読んで、ちゃんと考えて、納得する文章で返したい。

だから、

「今はちゃんと返せないから、あとで返そう」

が発生してしまう。

問題は、その「あとで」はいつ来るんですか????ということ。私の「あとで」は恐ろしく長い。既読スルー、なんなら通知で見て1週間も未読スルーをかますことすらある。

やっかいなのが、「返信しなきゃ」はずっと頭の片隅にいて、たびたび顔をのぞかせるということ。ふとした拍子に思い出しては、罪悪感やら恐怖やら恐怖やらでやはり後回しにしてしまうのである。

「今さら返したら変かな」

「遅くなってごめんって言った方がいいよな」

「相手、怒ってないかな」

気づいたとき、さっさと返信すれば良かったものを。日に日に返信の難易度が上がっていき、結果的には

「ちゃんと返さなきゃ」

↓

「あとで返そう」

↓

忘れる

↓

思い出す

↓

気まずくなる

↓

「ちゃんと返さなきゃ」

↓

さらに「あとで返そう」という永久機関が完成する。

これは、ADHDと関係あるのか?

私はADHDだが、「もしかして、この返信の先延ばしにもADHDでみられる特徴と重なる部分があるのでは?」と思って調べてみた。

なるほど、探せば見つかるものだ。2023年に発表された質的研究では、18~35歳のADHD成人を対象に、人間関係やオンラインコミュニティについてフォーカスグループで調査している。

参加者からは、人への連絡そのものを忘れてしまう経験や、メールやテキストメッセージなどの文章によるコミュニケーションが遅く、難しいという経験が語られてたそうだ。

「おお……。私みたいな人、いるんだ……」と、少し親近感を覚えた。

ただし、この研究はLINEの返信速度を直接調べたものではなく、「ADHDの人はLINEの返信が遅い!」とは言いきれない。

ADHDでも返信が早い人はいるし、ADHDではなくても返信が苦手な人はいる。あくまで、「ADHD成人の中には、連絡を忘れたり、文章でのコミュニケーションに難しさを感じたりする人もいる」くらいに考えておいてほしい。

【出典】

Ginapp CM, et al. The experiences of adults with ADHD in interpersonal relationships and online communities: A qualitative study. 2023.

「あとで返そう→忘れる」は、私にはかなり心当たりがある

また、米国国立精神衛生研究所(NIMH)が紹介している成人ADHDの日常生活上の困難には、先延ばし、時間管理・計画・整理の難しさ、日常的な用事を覚えておくことの難しさなどがある。

……。心当たりが多い。特に私の場合、LINEなんて最たるものだ。

返信する予定そのものが頭から消えるか、チカチカと点滅するように思い出す、ということがよくある。

通知が来た瞬間は、

「返さなきゃ」

と思っているにも関わらず、あとで返そうと別のことを始めると、LINEの存在など霧の中だ。

そして翌日LINEを開いて、

「…………あ」

となる。もちろん、

「ADHDの○○が原因だからLINEを忘れるんです!」

と単純に説明できるわけではない。LINEの返信には、そのとき何をしていたか、相手との関係、メッセージの内容、自分の気分など、いろいろなものが関係しているからだ。

ただ、「あとでやろうと思って先延ばしする」「そのまま忘れる」という私の行動には、ADHDで報告されている特徴と重なるところが多いのである。

【出典】

National Institute of Mental Health(NIMH), ADHD in Adults: 4 Things to Know

どんなLINEでも返信しないのか?

ここまで私は、「私はLINEの返信が遅い」という前提で考えていた。でも、私、全部のLINEを7日放置しているか、と自問するとそうではないらしい。

「今日19時集合ね!」

と来たら、

「了解!」

で終わる。なんなら秒で返すこともある。くだらない雑談なら、ポンポン返しているときもある。スタンプならもっと速い。なのに、

「来月いつ空いてる?」

「ちょっと相談したいんだけど……」

「これについてどう思う?」

みたいなLINEになると、急に、「あとでちゃんと返そう」が発生する。そう、すぐ返信できるか、そうでないかは何がしか違いがありそうなのである。

「了解!」と「来月いつ空いてる?」は、本当に同じ作業なのか?

私は作業療法士なので、仕事柄、結果に至るまでの過程を分解し、分析していくことが多い。

例えば、「○○ができない」

という結果だけではなく、その人が実際に何をしていて、どこで難しくなっているのかを細かく見ていく。

ならば、自分のLINEも同じように見てみたらよいのではないか。

「了解!」

で終わるLINE。そして、

「来月いつ空いてる?」

というLINE。どちらも表面上は、「LINEに返信する」に変わりない。

だが、「来月いつ空いてる?」と聞かれたら、予定を確認し、空いている日を探し、候補を決めなければならない。

加えて、相手に伝え、場合によっては場所も考える必要がある。

ひと口にLINEの返信、といってもたくさんの工程が隠れているらしい。

しかも違うのは、内容だけではない。

誰から来たのか?LINEが来たとき何をしていたのか?返信するために何を考える必要があったのか?

ここまで違うなら、全部まとめて、

「私はLINEの返信が遅い」

としてしまう方がおかしいとすら思われる。

では、私にとって「返せるLINE」と「返せないLINE」はどう違うのか。

実際に、「すぐ返せたLINE」と「先延ばししたLINE」を見比べてみることにした。両者を比較することにより、「返信できなかったLINE」にはどんな特徴があるのかを見つけられるかもしれない。

すると、「返信が遅い」

だけでは見えなかった、私が「あとで返そう」となりやすい条件が少しずつ見えてきた。そして、この考え方はLINE以外にも、

「片付けられない」

「お風呂に入れない」

「勉強を始められない」

「家を出る直前になぜかバタバタする」

という「なぜか上手くいかない」ことにも共通していることが分かった。

私たちはつい、「できない」という結果だけを見てしまうものだが、

「どんなときならできる?」

「できるときと、できないときは何が違う?」

「実際にはどこで止まってる?」

まで細かい過程を見ていくと、自分でも気づかなかった「詰まりポイント」があらわになってくる。

今回、私は「人・作業・環境」の3方向から「返せたLINE/返せなかったLINE」を比較してみた。

「LINEの返信が遅い」

という一言では分からなかったことがいくつもあり、分析したことにより対策も建てられるようになったのである。

今回行った、「人・作業・環境」の3方向で自分のLINEを比較する具体的な手順と、実際に使用したみた分析表、そして詰まり方ごとに私が試した対策については、noteの方にまとめている。

「ちゃんと返したいのに、なぜか返せない」という人は、ぜひ自分のLINEを見ながら一緒に分析してみてほしい。

noteはこちら

→ https://note.com/minamo_adhd5809/n/nbb64641f5db2

「サボってるわけじゃない。ちゃんと返したいのに、LINEが7日消える私を作業分析してみた。」

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